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執筆者の写真山本 志歩

ご存じですか?新しい紙幣の新しい工夫

 2024年7月3日、新しい紙幣が発行されました。お札の肖像に採用された人物は、一万円札が渋沢栄一、五千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎です。新しいお札の発行から約2カ月が過ぎましたが、皆さんはすべてのお札をご覧になりましたか?  

 20年ぶりに新しくなったお札は、何のために、そしてどのように進化したかをご存じでしょうか?それは、偽造対策の強化とユニバーサルデザインの向上です。新しい紙幣の新しい工夫を順に解説します。  



すき入れ&3Dホログラムとは

 最新の偽造防止技術としてすき入れと3Dホログラムが採用されています。

 すき入れとは「すかし」のことです。お札を光にかざすと肖像が浮かび上がってきますね。ここまでは以前のお札と同じなのですが、新紙幣では透かし部分の肖像の背景にひし形の高精細なすき入れが入っています。これにより偽造が困難なものになっています。

 また、3Dホログラムの効果で、紙幣を見る角度にあわせてホログラムで表現された肖像部分が回転するようにみえます。こちらもすき入れと同様に偽造対策の強化として採用されているそうです。この技術は日本独自のもので、銀行券への採用は世界初です。

3Dホログラムのイメージ


識別マークの形状 配置変更&額面数字の拡大

 今回の新紙幣発行で、変更となったユニバーサルデザインは大きく分けて4つあります。ユニバーサルデザインとは、年齢や国籍、障がいの有無に関わらず誰もが使いやすいデザインです。ここではわかりやすい変更点として2つを見ていきましょう。


 1つ目は識別マークです。識別マークとは、指で触って券種を識別できるマークのことです。新しい紙幣では、これを指感性に優れる形状(11本の斜線)に統一しました。券種ごとにマークの位置を変えることで、識別をしやすくしています。一万円札は表面の左右中央、千円札は左下と右上の対角上、五千円札は上下中央に付与されています。

識別マークのイメージ

 2つ目は額面数字の大型化です。新紙幣を手にした時、まずこの変化に気付かれた方は多いのではないでしょうか?表面では今までの紙幣の2倍~3倍、裏面では5倍ほどの大きさとなっています。



お札を識別できるアプリ

 お札を製造する国立印刷局では、目の不自由な方のためにスマートフォンアプリのお札識別アプリ「言う(いう)吉(きち)くん」を無料配信しています。これは、アプリを起動してカメラにお札をかざすと、お札の種類を識別し、音声と文字で知らせるものです。ぜひご活用ください。



まとめ

 私たちの生活と密接に関わりのある紙幣が20年ぶりに新しく変わり、より識別しやすく、偽造されにくいものになりました。もちろん、これまでのお札は使用可能です。しかし「これまでのお札が修正する使えなくなる」「新しいものと交換する」などと言い、現金をだまし取られる事件が既に起こっています。また、新紙幣には偽造防止強化のためさまざまな修正する工夫が施されていますが、偽札が出回るおそれも指摘されています。新紙幣の話題をきっかけに、身近な家族の方にもお声掛けいただき、「大切な資産を守る」意識を強くしていただく機会となればと思います。

 一方、世界のキャッシュレス化の流れから、今回の新紙幣の発行を機に、現金の取り扱いをやめる事業者も出てきているそうです。飲食店では券売機などの更新や入れ替えの必要が生じるからです。諸外国と比べ遅れをとっているキャッシュレス化が今後加速する一因となるかもしれませんね。そのような観点からも新紙幣発行を機に世の中の様々な流れに敏感になっていけるといいですね。

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