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執筆者の写真西川 峻矢

損をしない! iDeCoと企業型確定拠出年金の受取り方

 近年、iDeCo(個人型確定拠出年金)の有用性が広まり、2023年にはiDeCoと企業型確定拠出年金(以下、DC)を合わせた加入者が1,000万人を超えました。今回は、DCの中でも特に「給付金受取時の税金控除」について詳しくお話しします。

 この制度をうまく活用することで、税金が数十万円単位で変わる可能性がありますので、ぜひご一読ください。


【一括受け取りは損かも?】

「退職所得控除」という言葉をご存じでしょうか?少し難しそうに聞こえますが、これは退職所得を受け取る際の税金を大幅に減らす国の制度です。実は、DCの受け取りもこの「退職所得」に該当します。では、退職所得控除を使うと税金はどのくらい安くなるのでしょうか。

それは、勤続年数によって異なります。なお、iDeCoにおける勤続年数とは、掛金を拠出した期間のことです。


勤続年数別の退職所得控除を算出する計算式の表

例えば、DCに15年間掛金をかけた場合の控除額は600万円、30年間の場合は1,500万円です。

つまり、この控除額以内の受給であれば全額が非課税となる、ということです。



では、ここからは30年間掛金をかけた方の例をもう少し深掘りしていきましょう。


例えば、DCに30年間掛金をかけて、資産(受取金額)が2,000万円になった場合はどうでしょうか?

税金は次のように計算されます。

退職所得の課税所得についての計算式

具体的には、所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。以下の通りです。

退職所得にかかる税金の計算式

つまり、30年をかけて積み上げた2,000万円の資産を受取るために、合計で405,702円の税金がかかるということです。



【本題に入ります】企業型確定拠出年金(DC)の損をしない受け取り方

 この405,702円の税金を避ける方法があるとしたら、嬉しいですよね!

40万円あれば、リッチな旅行にも行けますし、1杯1,000円のカレーを405杯も楽しむこともできます。


そのための方法は、退職所得控除を超えた分を「年金形式」で受け取ることです。

(退職所得控除を超えた分とは、今回の場合500万円=2,000万円-1,500万円)


 年金で受け取る場合は「雑所得」として扱われ、退職所得控除とは別の控除が適用されます。

公的年金等の雑所得には、公的年金等控除が適用され、年間110万円まで非課税となります。ただし、公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)の金額と合算して計算する必要がある点に注意が必要です。平均的な公的年金の受取額は年間168万円なので、公的年金とDCを同時に年金形式で受け取ってしまうと110万円を超えてしまう場合もあります。


では、どうすればいいか。


 公的年金を受け取る65歳までにDCの年金分を受け取るという手があります。

例えば、先ほどの例の受取資産が2000万円の60歳の方の場合、60歳時点でDCを一括受け取り1,500万円、残りの500万円を64歳までの5年で分割して年間100万円ずつ受け取ることで、受給額を110万円以下に抑え、非課税でDC分の年金給付を受けることができます。

これで405杯分のカレーはあなたのものです。



【おしまいに】

このように、受取時期や受取方法を工夫するだけで、数十万円の税金を免除できるケースがあります。そのほか確定給付企業年金(DB)や会社の退職金がある場合において、税制メリットを享受できる方法もあります。

もし、自分の場合はどうなるか気になる場合や年金についてもっと知りたい場合は、ぜひお気軽にご相談ください!


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本記事の内容は投稿時点の情報に基づいて作成されています。時間の経過に伴い、情報が変更される場合がありますのでご了承ください。正確性や最新性を保証するものではありません。詳しい情報や最新の状況については、必ず公式サイトや関連機関をご確認ください。

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