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執筆者の写真中井 康寛

適材適所と2つの市場

あらゆるものがシェアで利用可能となっています。



私自身も、以前は車を持っていましたが、カーシェアを利用していますし、

今この文章を書いているのも、シェアスペースの一角です。



「おすそわけ」に近いことがテクノロジーの力を借りて「シェア」となり、

1人で所有するには余りあるものを、その活用を求めるみんなで使う。

とても素敵なことだと思います。



確かに、昔の消費社会ではその「余裕」こそが、一つのブランドでもあり、大きな別荘などもそのシンボルとなっていました。


ただ社会の流れや価値観の変化がそういったものを求めなくなっているのも事実です。

昨今の物価高は、「所有」に対する制限を強め、人々に本当にその必要性があるのかを問うています。

この流れは一層強くなり、所有するものこそ、相当に絞られてくるかもしれません。



コストパフォーマンスだけではありません。シェアするものによっては、その当事者同士に繋がりが生まれるなど、テクノロジーの結果として人間らしい良さが築かれるのも副次的な効果として挙げられます。



その最たるものが、人それぞれが持っている「スキル」を「シェア」するというもの。


例えば、

「人前で話をすることは得意だけど、その人がセミナーをするための資料作りは大の苦手・・・」

こんな人の場合、以前では、知人の中でも得意な人に頼んだり、尋ねたり。と手を打っていました。


今では、そのようなサービスを利用すれば、「1時間⚫︎⚫︎円で資料作りをお手伝い」と謳う人に気軽に相談できます。これはまさに、時間や効率をお金で買う。ということ。無形資産と有形資産の交換でもあります。



自分の中に眠る「⚫︎⚫︎を▲▲するのが得意(大好き)」が誰かの為になり、そして収入にも繋がる。

こういったことがもっと広まれば、日本の代名詞となっている「生産性が低い」に救いをもたらすかもしれません。


また、これまではニッチで、あまり光が当たりにくかった人にもチャンスが訪れます。

もっと高齢者の方にとっても馴染みのあるサービスになれば、この方達だからこそ持ち得た「昔なら当たり前」のスキルを現代に落とし込むことができそうです。そこで世代を超えた出会いが生まれるのも面白そうですね。



今回このテーマにしたのは、

ご相談の上で「退職金」について考えることがあったからです。


ライフプランを作成する上で、退職金は大きな影響力をもたらします。

その存在があるからこそ、可能な選択肢も多く生まれるのもまた事実です。


ところが、実は退職金を制度として採用するかしないかは法律で定められたものではありません。

無くても法的には何の問題もないということです。

給付があったとしても、その平均金額は減っている傾向にあるようです。



それでも退職金制度は、人が資産の現代ではメインとして機能していくと考えられます。

ただし、頼りきるのではなく、そんなことも頭の隅に置いておくことは大事かもしれません。


ここで、

退職金や収入とは別世界と思われる「運用」を持ち出すと、面白いことが見て取れます。



金融市場に「資産」を投下して対価を得る(運用)

労働市場に「自身」を投下して対価を得る(仕事)



扱っている対象が大きく違うといえばそうなのですが、参考になるところもあります。

安定的ではなく、変動することが前提の前者では「分散」は鉄則事項の1つです。

そして、今や後者の前提であった「年功序列」「終身雇用」は脆くなっているわけで、その点では両者の性質は近付いているとも考えられます。


ということは、

「資産」の中にポートフォリオを組むのが大切なら、

「自身」の中にポートフォリオを組むことも大切だという理屈になります。

※ポートフォリオ:性質の異なった金融資産の組み合わせのことを指します



それが形となって現れているのが

冒頭のスキルシェアや副業の活気ではないでしょうか。



1人1人が持つ「人よりちょっと得意」は、

別の人にとっては、とても光るものであるなんてことはよく聞く話です。

今では、それが誰かの目に留まる可能性が格段に上がっています。



単なる収入の別ポケットとして考えてしまうと無味乾燥なので、「やりがい」「楽しみ」の一つとして考えてみるのも良いかもしれません。



その結果として、日本総「適材適所」になったら、どんな変化が起こるのだろうか。

お金の「適材適所」を考えるFPとしては、そんなことが気になるところです。



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