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執筆者の写真中井 康寛

快適さとリスク

高額なトイレに需要があり、値段が上がっているそうです。

なんでもコロナをきっかけとして在宅ワークが増え、より快適さを追求した結果とのことです。

機能が充実し、インテリア性も併せ持ったトイレは、さながら一つの部屋の佇まい。

その空間に大きな付加価値が生まれています。


創造性、革新性が求められる時代となり、例えばIT企業のオフィスが公園のような造りに変わりました。

リラックスや刺激を通して、新たな知見をたぐり寄せることに必死になっています。

トイレの進化もまた、新たなマインドを導いてくれて日本を底上げする。のでしょうか。



昔の中国には「良いアイデアは三上で生まれる」といった考えがあります。

「三上」とは馬の上(つまり移動中)、枕の上(つまり就寝の際)、便座の上(お手洗い中)ということです。自分自身に当てはめても、なるほど納得です。



現代の「馬」である車も、空間に付加価値が生まれているという点では似ています。

OIを入れ替えるだけでスペックが変化する次世代の自動車はもはや動くPC。

そうなると、単なる移動手段ではなく、車内という空間に新たな価値が生まれてきます。

知人は使い慣れたワークスペースとして、いつもお決まりの車内からオンラインミーティングを繋いできてくれます。



とすると、次世代の「枕上」とはどんなものなんだろう。なんて考えてみたり・・・。



ところで、どれも手の届く範囲で仕切られた個の空間に言えることでしたが、それだけではありません。

勝手は異なりますが、昨今では「価値ある内向き」がここかしこで見受けられるようになっています。


例えば、企業に話を広げると、楽天などに見られる経済圏も、同じかもしれません。

手の届く範囲で買い物だけではなく、エンタメや運用などチャネルが揃っています。



さらに国に話を広げると、資源ナショナリズムにも当てはまります。

例えば、石炭やニッケルの世界的生産地であるインドネシアは輸出することを抑制しています。

安全保障の上で、手の届く範囲で自分達の資源を囲い込んでいるのです。



高級トイレさながら、囲い込まれた空間の付加価値はとても高く、現代版内向きの力はとても引力の強いものとなっています。そして、確固たるものにすべく企業も国もその力をさらに強大にしようと試みます。

いったんアップル製品を使い出すと、あまり乗り換えようとは思いませんし、前回のコラムにもあったように楽天で買い物をしたついでに運用することはよくある光景となっています。


一旦入った空間は、とても心地の良いものに設計されています。

資源を安定して供給されていた欧州は、ある意味では心地よく経済の成長にだけ集中できて今の繁栄を実現したとも言えます。


ところが「枕上」でも、いつかは温かい布団から出ないといけないタイミングが来てしまうように、

安定はいつまでも続かないのがことわり。欧州は一転してロシアに梯子を外された形となりました。



快適さの裏にはリスクがある。

その観点はライフプランにも当てはまります。

今健康だと保険の必要性を感じなかったり、

今収入が十分だと、特段運用の有効性を感じなかったりしてしまうものです。

当たり前かもしれませんが、今快適な環境は条件が揃った上で成立しているに過ぎません。

リスクマネジメントは、余裕がある時にこそ、立ち止まって考えて欲しいと思います。



一人一人、求める快適空間が異なるように、

一人一人の必要な保証や運用の金額・手法も異なります。

まずはそれを導き出すことが私たちのスタートです。

もしも、何から手をつけて良いかわからない場合は、一緒になって考えていきますので、是非ご相談ください。



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