投資信託を知ろう!~手数料編~
投資をはじめる前に『知る』シリーズです。
はじめての投資で選ばれることも多い「投資信託」。投資信託をはじめるうえで商品のしくみをしっかり理解する事とともに、手数料などかかってくる費用の部分もしっかりと把握しましょう。
それでは、投資信託の手数料(コスト)についてみていきましょう。
販売手数料
「申込手数料」とも呼ばれ、購入する際にかかる手数料になります。投資信託により違いますが、だいたい1~3%です。購入の際に直接的にかかる費用となります。
最近では販売手数料がない「ノーロード」投資信託も増えてきており、投資信託によって差があります。
例えば、100万円を新規に設定された「A投資信託(販売手数料3%)」に投資する場合。
販売手数料には消費税相当額がかかりますので、消費税10%ですと、購入時に3.3%の手数料がかかることになります。
購入時、販売手数料を投資資金とは別に払うか、投資資金の中から払うかによって購入口数が変わります。
100万円+手数料= 1,032,400円(1,000,000口)
100万円-手数料= 967,600円( 967,600口)
販売手数料は投資信託ごとに上限が決まっていますが、実際に購入する際の手数料は販売会社によって異なります。
また、ノーロード投資信託は購入時に手数料がかからなくても「信託報酬」などが多めにかかる投資信託もありますので販売手数料以外もしっかり見ていく必要があります。
販売手数料は購入時にかかる手数料ですが、投資信託は購入後も手数料がかかります。
信託報酬
管理手数料とも呼ばれ、投資信託の運用に関する手数料で、投資信託の基準価額に対して一定の率として投資信託の資産から自動的に差し引かれる手数料です。
投資信託運用会社への運用報酬、受託信託銀行の管理報酬、販売会社(証券会社)の販売代行業務に対する報酬の三つが含まれ、保有している限り間接的にかかってくる費用になります。
長期投資をいていく上で、常に必要となるこの手数料はかなり大きなコストとなります。
投資信託を比較するとき、この信託報酬は見えにくいコストかもしれませんが、販売手数料よりも重要です。
この信託報酬の金額はファンドごとに定められており、どの証券会社(銀行)で購入しても手数料は同じです。
信託報酬は目論見書で確認することができます。また、運用会社のホームページや投資信託の比較サイトなどでも確認することができます。
信託報酬は毎日かかる
信託報酬の計算は毎日行われます。例えば、年間の信託報酬が2%の投資信託があったとします。この場合、日割りされ1日あたり0.0055%の信託報酬が毎日、純資産(投資信託全体の財産)から引かれます。
具体的には、投資信託は価格が変動する商品を扱っていますので、ファンドの時価(純資産額)を毎日値洗い(決算)して、その純資産に対して毎日信託報酬が課せられることになります。
例えば、投資している投資信託の時価総額が100万円だった場合の信託報酬は55円、110万円だった場合の信託報酬は61円となります。
ただし信託報酬は、毎日基準価格から差し引かれています。そのため、保有している最中は実際にその負担を意識することはほとんどありません。新聞などに提示されている投資信託の価格は既に信託報酬の額を差し引いたものとなっています。
つまり、10,000円の基準価格の投資信託ががあったとして、投資先の株価等が全く変動しなかった場合、毎日0.0055%ずつの元本が減少していく計算になります。
運用実績に関わらず信託報酬は毎日かかります。
ノーロード投資信託も販売手数料はかからないだけで信託報酬はかかります。
各運用会社が発行しているマンスリーレポートなどには実際に徴収した信託報酬の金額が明記されますので、そちらを参考にしましょう。
このように、信託報酬は保有している間かかりますので長期になればなるほどこの信託報酬の差が自身の運用成果にも現れてきます。
信託報酬以上のパフォーマンスを運用会社が上げなければ、必然的に資産は目減りしていくことになります。
最近では、世界的な低金利政策の流れから、組み入れ銘柄より信託報酬の方が高い投資信託などもありますので、しっかり内容を確認してから投資を行いましょう。
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を解約する際にかかる手数料のことを指します。投資信託を解約する際、他の投資家の為に投資信託内にペナルティとしてかかる、中途解約手数料のようなもので直接支払います。
信託財産留保額のしくみ
信託財産留保額は、販売手数料などのように運用会社や販売会社の収益とならず、売却時のペナルティとして投資信託に残す財産をいいます。
みなさんのお金は、投資信託のなかで、株式や債券に形を変えています。ここから換金しようとすると、すぐにお金が出てくるわけではなく、株式や債券を売ってお金にすることが必要となります。
ところが株式や債券を売却するには、手数料がかかったり、売りたくないタイミングに売って損をしたりと、様々な「費用」が発生します。この「費用」を、投資信託を持ち続けている人だけで配分するのは不公平です。そこで、解約する人は「ペナルティ」(=信託財産留保額)を支払ってもらおうという制度が、信託財産留保金制度なのです。この留保額はその後、基準価額や分配金に反映されます。
運用する側から見ても、頻繁に解約されると安定的な運用ができなくなります。信託財産留保金制度は短期売買をできるだけなくし、投資信託の運用を安定させる意味もあります。
信託財産留保額はいくらかかるか
金額は投資信託によって異なりますが、0.1%~0.5%程度に設定されています。
一般的には0.1%程度の金額が信託財産留保額とされているファンドが多く、また一定以上の期間保有していれば信託財産留保額が0円になるというファンドも多いです。そもそも信託財産留保額がかからない投資信託も多いです。
投資信託を解約したときの信託財産留保額の計算方法は以下の通りです。
「条件」 現在の基準価額=12,000円 元本1口1円(基準価額=1万口あたり) 信託財産留保額(基準価額の0.1%) 個別元本=10,000円 保有する口数=500万口
現在の評価額(1万口あたり)=12,000円 信託財産留保額(1万口あたり)=12,000円×0.1%=12円
信託財産留保額控除後の評価額=11,988円
信託財産留保額額の金額自体はそこまで大きくありませんので、長期投資であればそこまで気にする必要はないでしょう。
その他費用
上記3つの基本的な手数料(コスト)に加えて、監査報酬と売買委託手数料がかかります。
監査報酬
投資信託は原則決算ごとに、監査法人などから監査を受ける必要があり、その監査に必要となる費用です。投資信託の資産から間接的に支払います。
売買委託手数料
投資信託が投資する株式などを売買する際に発生する費用です。発生に都度、間接的に支払われます。運用の結果発生する費用のため事前にいくらかかるのかを示すことができません。
投資信託で資産運用を行うにあたってはこうしたコストも運用の一部になります。運用のパフォーマンスにも影響がでますので、投資信託を選ぶ際には、投資先や何で運用されているかという内容を確認することはもちろん、こうした手数料(コスト)にも目を向けましょう。
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